修羅場


 

ハロー。俺はタカシ。仲間はみんなタカって呼ぶかな。今まで自由奔放に生きてきて、自由人の名前を欲しいままにしてきた俺だけど今ちょっとピンチ。

「で?あんたタカのなんなの?」

「あなたこそなんなのよ!」

俗にいう修羅場ってヤツだ。簡単に言うと二股がバレた。で、なんでか知らんが勝手にこの3人の会合は始まったわけだ。もちろん今までだって二股や三股なんて当たり前のようにやってきたけど、バレたのは初めてだった。まさかこんな修羅場になろうとは思ってもみていなかった。

「あんたなんかさ、どうせタカに遊ばれてただけだろ?」

「あなただって同じ立場じゃない!」

「なんだとこの野郎!」

口の悪い、男っぽい奴がユリコ。付き合って2ヶ月くらい。確か出会ったのはいつだかの合コン。顔は可愛いし体はエロいし言う事ない。しいて言うなら怒ると手がつけられない事だ。今みたいに。

色白で、美人顔の奴がマコト。こちらはまだ付き合って、というか知り合ってから2週間くらい。確か友達の紹介。会ったその日にあまりにタイプだったので付き合う事にしてしまった。こちらも怒ると手がつけられない。すぐヒステリックを起こす。

そんな二人の言い争いを見て、ふぅっとため息をつく。別にいいじゃないか二股くらい。減るもんじゃないし。まあ、一人への愛の量は減るか。分割するわけなんだから。でも大した問題じゃない。バレさえしなければみんな愛し愛されてハッピーじゃない。何をそんなに。あっ、バレたからか。

目の前では延々と非生産的な戦いが繰り広げられている。戦い?そんな高尚なもんじゃない。内容的には単なる子供の喧嘩だ。その原因である俺は水を少しだけ飲み、はぁっとさっきよりも大きくため息をつく。早く終わってくれないかな。

「それで、タカ君はどっちを選ぶの!?」

ヒステリックを起こした高い声でマコトが聞いてくる。当然の如く話を聞いていなかった俺に「それで」なんて接続詞を使われたってなんの事だかわかりはしない。いや、実はわかってる。今のこいつらの会話に話題転換などあるはずがない。二股かけてたけど、これからはどっちと付き合っていくの?そういった意味の質問だろう。

どっちも好きなんだ・・・。そう言ってみる。すると今度は二人の攻撃の的が俺へと変わる。どっちも好きってどうゆう事よはっきりしなさいよ男らしくないわね私とこいつとどっちが大切なの。よくもまあこんなテンションで話してて疲れないものだと少し感心する。

昔から俺はこうゆうどっちつかずの人間だった。そしてそういう物が大好きだった。はっきりとしてる物は嫌い。だから数学は嫌いだった。答えが一つしかない世界は大嫌いだった。甘い物は嫌い、辛い物も嫌い。けどどっちにもなるカレーは大好きだった。つまりはそうゆう事。理由は特にない。うさぎがニンジンを好むように、俺はそうゆう物が大好きだった。

「はっきりしなよ!どっちを選ぶさ!」

ユリコが叫ぶ。ここが喫茶店だという事を忘れているようだ。声が大きすぎる。周りの客に迷惑だ。何よりもまず俺に迷惑だ。一メートルしか離れてないんだからどんなに小声だって聞こえるっていうのに。まあそんな事も気にならないほどに怒っているのだと思う。罪な男だ、俺。

どっちかを選ぶ?馬鹿げた質問だ。性格から何から全てが対照的なこの二人のうち、どちらかなんて選べない。どちらかに欠けてる物がどちらかには備わっている。俺の中で二人を同時にキープしている事が完成形なんだ。今更どっちかを欠く事なんて出来るわけがない。二人と付き合っていく事、それが今の俺の理想なんだ。3人や4人なんて言わない。この二人だけでいいんだ。それに、

 

実際どっちも同じくらい好きなんだよな。

 

男っぽいノーマルなユリコと、

女っぽいホモセクシャルなマコトと。

中性好きの、バイセクシャルな俺としては。

 

〜〜fin〜〜

 


ろぐ。  とっぷ。


 

 

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