ボクとママはよくお買い物に行きます。

ごはんの買い物とかは近くのスーパーだけど、洋服とかテレビとかは街に行って買います。

街には電車に乗っていきます。がたんごとんと、三駅進むとそこが街です。

 

ところでふしぎな駅があるのです。

ボクの駅と街との間にある駅なのですが、とってもふしぎなのです。

 

その駅からは誰も電車に乗ってきません。

ほんとうに誰一人乗ってこないのです。

けど、たくさんの人が降りていくのです。

街に行くときも帰ってくる時もたくさんの人がその駅で降りていくのです。

 

ふしぎでふしぎで仕方なくてある時、ママに聞いてみたのです。

そしたらママはこう答えるのです。

 

あそこはね、人間の終着駅なの。この世の役割を終えた人が最後に降りる駅なの。

だからタカシもね、大きくなって自分のすべき事を全て終えたらあの駅に行くのよ。

それまでは絶対に降りては駄目よ。

 

そう言うのです。

ボクはよくわからなかったのですが、とりあえずはーいと答えました。

よくわからなかったけど、ボクとは今は関係のない駅だということがわかりました。

 

ある日、ボクとママはいつものように街にお買い物に行きました。

冬用のあったかいコートとマフラーと手袋を買いました。

 

歩きつかれたボクは、帰りの電車の中でついウトウトしてしまいました。

けどすぐに起きました。一駅分くらいしか寝てません。

でもママが隣にいませんでした。あれ?

電車は今止まっています。ドアも開いています。

キョロキョロとママを探します。いない・・・どこに行ったんだろう。

よく見るとここはあの駅でした。乗る人がいない駅。降りる人しかいない駅。

ホームに一人だけ女の人が立ってました。こっちを見てます。

ママでした。

 

気付いたすぐ後にプシューって音がして電車のドアがしまりました。

ママがこっちを見て、何かを言っています。でもドアがしまってるので聞こえません。

ボクはママの言葉を思い出しました。

 

あそこはね、人間の終着駅なの。この世の役割を終えた人が最後に降りる駅なの。

 

ママ、ママ!とボクは力いっぱいママを呼びました。

ママ、行っちゃイヤだ!ママ!もどってきてよ!ママ!

でも電車はゆっくりと動き始めてしまいました。

それでもボクはママを呼びつづけます。目を涙でいっぱいにして呼びつづけるのです。

すこしずつはなれていくママも、目に涙をうかべ、かなしそうにボクを見ていたのです。

 

あそこはね、人間の終着駅なの。この世の役割を終えた人が最後に降りる駅なの。

だからタカシもね、大きくなって自分のすべき事を全て終えたらあの駅に行くのよ。

 

 

そんなわけで僕はあれから30年後の今日、あの駅へと向かっているのです。

すべき事を全て終えたから。いや、一つだけ残っています。

それをする為に行くのです。

あの時の僕と、同じ年に成長した、我が子を連れて。

 

 

〜〜fin〜〜

 


ろぐ。  とっぷ。


 

 

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